ぼくは白い影の中からきみを眺め
何か声を掛けるでもなく ただ ただその睫毛に見蕩れていた遮光
部屋の隅 ベッドの上にうずくまるきみは
早くカーテンを閉めてとぼくに言った寂しがりで臆病でわがままで
泣き虫で舌足らずで不眠症なきみ本を読んであげよう きみの好きな本を
音楽がいいというなら 何かCDを掛けようきみの長い髪を解くのはぼくの一番好きな日課
きみの好きな熱くて甘い紅茶をゆっくりと淹れる
きみが気に入っている服に毎日アイロンを当て
きみが可愛がっている小鳥に餌を与え
きみが育てている花に肥料と水をやるきみはぼくがいなければ生きていけないことを
ぼくはきみよりもずっとよく理解しているきみは真昼の光がとても嫌いだ
だからぼくが隠してあげようこの世界中から切り離された
窓の無い光の無い部屋
きみが死んだように静かな眠りに付くまでずっと、、
ぼくはこうして側にいるくるまったシーツの奥から覗く
きみのそのアイラインで縁取った綺麗な目から
音も無く一筋の涙を零し
長い睫毛は白い頬に影を作ったきみのその美しい睫毛の輪郭
白へと飲み込まれていくぼくの
視界に最後の 黒い翳ぼくは口の端だけを歪めて笑いながら
静かにそのカーテンを閉めた